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看護師

サイト閉鎖のお知らせ

諸般の事情により、2021年5月末日をもちまして「チャンスクリエーター」を閉鎖させていただきます。
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長らくのご愛顧誠にありがとうございました。

リンパドレナージを医療分野へ。訪問看護から見えてきた新たな課題に挑戦したい。ーリンパ専門訪問看護サービス らくんと 代表 秋山雅美さん

リンパドレナージを医療分野へ。訪問看護から見えてきた新たな課題に挑戦したい。ーリンパ専門訪問看護サービス らくんと 代表 秋山雅美さん
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自ら訪問看護サービスを提供し、リンパ浮腫の患者さんに「リンパドレナージ」の施術を行う看護師の秋山雅美さん。リンパドレナージの資格を持つ人はまだ日本に少なく、また保険適用外のため施術を受けられる病院も限られているそうだ。がんの治療が終わっても、リンパ浮腫があるために日常生活に制限が出てしまう患者さんは非常に多いという。こうした患者さんを救うべく活動する秋山さんにお話を聞いた。「リンパドレナージセラピスト」を行う看護師の仕事とは?

 

リンパ専門訪問看護サービス らくんと 代表 秋山雅美さん

リンパ専門訪問看護サービス らくんと 代表 秋山雅美さん

【育児と両立するために選択した訪問看護という働き方。】

―秋山さんは病院での経験が長いですね。訪問看護という働き方にシフトしたきっかけはありますか?

これまでの経歴のほとんどが病院勤務です。ただ、出産を機に「働き方の壁」に直面します。私が出産した当時は日勤常勤という働き方を提供している病院がほとんどなく、「夜勤をやらないなら非常勤」という二者択一しかありませんでした。子供を育てながら夜勤をやるのは難しいですので非常勤での勤務を開始しますが、夜勤をしないと収入がガクッと減るんです。そして、これは働くお母さんは誰もが一度は悩むと思いますが、急な子供の発熱などで休みをもらうのは職場に申し訳ないと思ってしまう。人間関係が良く、子供のいる看護師にも理解のある職場でしたが、こういう後ろめたさを感じながら働くことにストレスに感じることも事実でした。きちんとした収入が得られ、子供との時間も確保できる働き方は訪問看護だと考え、その道へ進みました。オンコールを持つストレスは少なからずありますが、収入を確保できることは大きかったですね。

 

―訪問看護の仕事をする中でリンパ浮腫の患者さんへのケアの方法を模索し始めたのでしょうか?

きっかけは訪問看護の中で出会った患者さんです。その方は乳がんの末期の方で、全身がむくんでいました。腕の皮膚や肺への転移もあり横になるのも辛く、座椅子の背もたれを起こして座っている方でした。ご家族もとても献身的に看病なさっていたのですが、「本人が楽に過ごせるように何か手助けできることはないか、あればやってあげたい」という想いを持っていらっしゃったそうです。ある時、アロマセラピーの資格を持ちエステを開業している友人がいたので、むくみに効く精油がないか聞き、在宅主治医の許可を取り足のマッサージをしてみたのです。ご本人も「とても気持ちがいい。この時間がずっと続けばいいのに。」とおっしゃってくれましたし、何よりご家族が「自分たちにもやってあげられることができて良かった」と感じてくれたようです。マッサージをしている時にたまたまケアマネの方が来ていて、「看護師さんはそういうこともやってくれるの?実はそういうケアをやってほしい患者さんは在宅にはたくさんいるんだけど。」と言われたことがきっかけで、看護師の資格を活かしてプラスのスキルを身に付けようと思いました。そして見つけたのが「リンパドレナージ」だったのです。

 

【病気は治っても、元気な生活を送れない人がたくさんいる状況を変えたい。】

―リンパ浮腫の患者さんは現状、どのような治療を受けているのでしょうか?

今、日本にリンパ浮腫の方は10万~15万人いると言われています。それに対しリンパドレナージセラピストは1413名(フェルディ式医療リンパドレナージセラピスト/2013年3月末時点)しかおらず、リンパ浮腫の方への適切な治療が行われているとは言えない現実があります。その理由は、保険が適用にならない行為なので拡大しないこともありますが、リンパ浮腫に対する正しい治療が医療者にも知られていないという現状も挙げられます。リンパ浮腫は、リンパ管の障害があるためにリンパ液の吸収、運搬、排除する機能が低下し皮下組織に水分やタンパク質が過剰に溜まった状態をいいます。リンパドレナージは専門的には複合的理学療法といい、スキンケア、医療リンパドレナージ(いわゆるマッサージ)、圧迫療法、運動療法を個別の症状に応じて実施しセルフケア指導により奏功効果を生み出す手法で、ドイツのフェルディ式を取り入れています。しかし、適切な治療法が認知されていないことが多いため、利尿剤を処方されるだけという患者さんが非常に多いのです。むくみさえ取ることができれば、元気に日常生活を送れる患者さんがたくさんいるのに、これは非常に残念な状況です。

一方、保険適用に関しては、協会が厚生労働省などにも長年にわたって働きかけている結果が少しずつ出てきています。たとえば、圧迫に使用するストッキングや包帯は高額療養費に算入できるようになりましたし、病院の看護師が患者さんに対しリンパドレナージの指導を行うことで指導料を請求できるようにもなっています。しかし、指導内容にはかなりのばらつきが見られ、また施術自体は未だ自費なので、導入する病院も少なく、そこに人員を割くことも難しい状況が続いています。

リンパドレナージの資格は医師、看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ師が取得することが可能です。この中で開業権があるのはあん摩マッサージ師のみです。病気や体のことをより理解している医療者がこの資格を取得することの意味は非常に大きいと思いますし、医療者が行う行為は、患者さんやご家族の安心感の元にもなります。

 

【訪問看護に大切なことは、「どういう生活を送ってほしいか」という視点。】

―秋山さんは第13回湘南ビジネスコンテストでリンパドレナージを行う訪問看護事業で見事にビジネス大賞を受賞されました。ビジネスコンテストに出場されたのは、リンパドレナージを保険適用の医療分野に組み込みたいという想いがあったからなのでしょうか?

ビジネスコンテストへの出場のきっかけは二つあります。一つ目は保険適用の医療行為として認めてもらいたいということ。二つ目は冒頭でお話した、働き方の壁を乗り越えたいという想いです。「夜勤をやらないと、独身時代と同程度の収入を得られない」という現状を変えたかった、そのヒントは訪問看護という働き方にあると思っていたことが根底にあります。訪問看護の仕事はとても倦厭されがちですが、全国に55万人とも言われる「潜在看護師」の中で看護師としてもう一度働きたいと思っている人がいるなら、一番良い働き方だと考えています。患者さんのご自宅に上がり、医療ではなく生活の目線で看るというのは看護よりも介護の側面が強く、病院での経験しかない看護師には簡単にイメージできるものではないかもしれません。必要なのは、「この病気にはこの治療をしなくてはならない」という考えではなく、その患者さんに「どういう生活をしてほしいか」という視点です。まさに「この方は何を望んでいるのか」をきちんとキャッチできる人であれば、訪問看護の仕事は向いていると思います。子育てを理由に一度退いた方でも、昼間の時間帯に地域の高齢者をケアでき、非常勤で勤務する以上の収入も得られる。ビジネスコンテストへの出場を通して、子育て中の看護師たちにも、もう一度戻ってくることができるんだというきっかけを与えられればと考えていました。高齢化、孤立死、セルフネグレクト。今の日本には問題が山積みです。その問題を一緒に解決してくれる訪問看護師を待ってくれている方はたくさんいます。

―ビジネスコンテストで大賞を受賞してから、ご自身にどんな変化がありましたか?

何よりも人脈がものすごく広がりました。現在、リンパドレナージを主に行う単独の訪問看護事業者は神奈川県内にはいません。おそらく東京都内にもいないと思います。先発者であるからこそ、自治体や行政への届け出や、規制に反しないかのチェックはしっかり行わなくてはなりません。とはいえ、私は看護師としての経験しかないので「事業を営む」ことを理解しているわけではありません。地域の振興財団の方、中小企業診断士の方が、本業以外の部分をサポートしてくださることでとても助かっています。営業活動に必要なパンフレットや名刺も格安で作成してくださる方もいらっしゃいました。

そしてもう一つ、私が始めたことで「看護師でも開業できるんだ」と思ってくれる方が増え、新しく開業する方も出てきたことも嬉しかったです。

【高齢化社会でも、8割は元気なアクティブシニア。】

―後進が出てきて、リンパドレナージが広まることが今後の目標ですか?

そうですね。医療者でも知らない人がたくさんいるという現状は変えていきたいと思っています。リンパ浮腫でも治療ができるということが伝われば、広まっていくと思っています。そしてもう一つ、地域への貢献という側面での活動を広げていきたいと思っています。高齢化はもう随分前から言われていますし、在宅医療の需要は今後も増えていきますが、シニア世代と言われる人たちの8割は元気な人たちなのです。その8割の方たちの元気を保ち、できるだけ介護保険を使わなくても良くなるような活動をしたいと思っています。会員制のシニアクラブを作って、そこに子供たちを加えた地域コミュニティを創るなどの活動ですね。今、学童や保育所になかなか入れずに待機している状態の子供たちがたくさんいます。そういう子たちを受け入れて、シニア世代と一緒に過ごせる施設が地域にあれば、元気なシニアの方たちが元気を保てることにつながるのではないかと考えています。長い人生経験はシニア世代の知識を伝える良い機会になりますし、給与の支払いが発生するような活動に発展できれば雇用の創出にもなると思っています。高齢化が加速することは紛れもない事実ですが、元気な人たちに元気なまま過ごしていただくことで、国や自治体の医療費も削減できます。こうした地域への貢献も、これから推進していきたいと考えています。

 

 

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秋山雅美(あきやま・まさみ)さん プロフィール

リンパ専門訪問看護サービス らくんと代表。リンパドレナージセラピスト・看護師。総合病院、訪問看護ステーション、介護施設での勤務を経て、平成24年にリンパ浮腫治療と訪問看護を同時に提供する「らくんと」を設立。保険が適用されない「リンパドレナージ」を行う看護師としての神奈川県内で初の試みであり、「第13回湘南ビジネスコンテンスト」でビジネス大賞を受賞。今後はより地域に貢献できる活動を拡大していく。

リンパ専門訪問看護サービス らくんと
http://www.rakunto.jp/

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●記事の内容は取材当時の内容であり、現状は異なる可能性がございますので予めご了承ください。

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 7 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. By フクオカ ミチコ

    はじめまして。
    このhpで秋山様のような活動をされている方がいらっしゃるのこと励みに感じました。
    実は誰かに教えて頂きたいことがあり、このサイトに辿り着いたのですが、私の勤務先(外科・内科)クリニックで同僚の看護師がリンパ・・・のセラピスト資格を7月に取得予定で、ご友人とクリニックの休診日に場所を借りてリンパドレナージをリンパ浮腫患者様に実施する旨を計画されております。
    休診日に医師は勤務せずリンパ浮腫・胸部外科にも詳しくありません。
    きっちりした法律上の取り決めも無い様ですがテストに合格したとはいえ、臨床経験のない方々の営業になった場合クリニックへの影響含めトラブルがあった場合のことも考え大変心配いたします。 医師の『自分の収益になるなら良い』の考え方にもがっくりしますが。
    7月に話が進んでいくようです。
    何かアドバイスがないでしょうか。
    教えて頂けると大変うれしいのですが、
    宜しくお願いいたします。

    ちなみに私も重度に近い両下肢リンパ浮腫患者です。怖さもよく知っています。
    ですから余計素人のような方がたがクリニックの名を借りての治療院スタート!が怖くて仕方ありません。

  2. By 秋山雅美

    フクオカ様。
    コメントありがとうございました。
    同僚の方がセラピストになられるとの事で、嬉しく思います。つかぬ事をお聞きしますが、その方はどちらで講習を受けていらっしゃいますか?セラピストになるにあたり、様々な協会があります。私は日本医療リンパドレナージ協会で取得しましたが、そこでは資格取得後すぐに実践出来るような指導をしていただけましたので、臨床経験に関しては特に問題はないかと思ってます。ただ、ケース毎に悩む事例は多々ありますので、その都度協会への相談はさせていただいたり、経験豊富なセラピストに確認させていただいりは必要かもしれません。
    医師不在のクリニックで、というところでは私はちょっとお答え出来るような知識がありませんので、県や市、厚労省、また資格取得した団体にご相談してからのほうがいいかと思います。

    あまりご期待に答えられるようなお返事ではないかもしれませんが、参考になればと思います。また、何かありましたらいつでも連絡してください。

  3. By こころん

    はじめまして。4年目の看護師です。
    マッサージする事が好きで看護師の知識を活かせた仕事はないかと調べていた時、リンパドレナージュを知りました。働きながらリンパドレナージュの学校に通い卒業間近です。整形病棟で働いていましたがリンパ浮腫の看護を学ぶため、がん患者さんがいる病院に転職しました。しかし大きな病院は家庭との両立が困難で、秋山さんもおっしゃっていたように非常勤では収入も減少するし…と考えると

  4. By こころん

    考えれば考えるほど、自分の方向性を見失っている状況です。
    以前、秋山さんのように訪問看護でリンパドレナージュが出来ないかと考え意見を聞いたりもしましたが前例はなく断念。秋山さんのように実行力のない私でした。
    もう少し詳しく仕事内容についてお聞きしたいと思っています。連絡方法はどのようにしたらよろしいですか?

    先程は中断して送信してしまい申し訳ありませんでした。

    • By 秋山雅美

      返信遅くなりすいません。コメントが来ていることにいま気づきました。
      らくんとのアドレス添付しますね。
      info@rakunto.jp
      です。

  5. By 三浦 由紀

    初めまして私は臨床検査の会社で集荷の仕事をしております。 数ヶ月前知り合いからオイルリンパマッサージのお店を紹介していただき リンパドレナージュの仕事にチャレンジしてみたいと思ってます。出来ることなら病院で患者さんとも向き合えるお仕事ができればと思ってるのですが看護士さんなど医療の資格を取得した方じゃないと出来ないのでしょうか?
    スクールは地元のリンパへルスケア協会にと考えてるのですが。アドバイスをいただければ幸いです

    • By 秋山雅美

      返信遅くなりすいません。
      メッセージに今気づきました。
      医療リンパドレナージは美容のものと異なります。私は後藤学園の日本医療リンパドレナージ協会でまなびました。そのサイトを見ていただけると詳しい内容が分かると思います。
      また何かありましたらinfo@rakunto.jpに連絡してください。

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