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サイト閉鎖のお知らせ

諸般の事情により、2021年5月末日をもちまして「チャンスクリエーター」を閉鎖させていただきます。
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長らくのご愛顧誠にありがとうございました。

犬が介在することで増える笑顔がある。-認定 特定非営利活動法人 シャイン・オン・キッズ 森田優子さん

犬が介在することで増える笑顔がある。-認定 特定非営利活動法人 シャイン・オン・キッズ 森田優子さん
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病院内を犬が歩くという光景はあまり見たことがない。神奈川県立こども医療センターは、日本にはまだ2頭しかいないというファシリティドッグによる動物介在療法を導入している病院の一つだ。病院に常勤するファシリティドッグのベイリーと行動を共にするのは、ハンドラーの森田優子さん。認定 特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズから派遣されており、小児科での看護師経験を持つ。患者への癒しを提供するセラピードッグではなく、医療スタッフの一員として活動しているというベイリーの役割について、森田さんにお話を伺った。

ファシリティドッグ・ハンドラーの森田優子さん(左)とファシリティドッグのベイリー

ファシリティドッグ・ハンドラーの森田優子さん(左)とファシリティドッグのベイリー

 

医療スタッフの一員として。

―ファシリティドッグという言葉は馴染みがありませんが、森田さんとベイリーはどのような活動をするのでしょうか?

私たちが行う動物介在療法とは動物介在活動の延長線上にあるもので、主に機能訓練と精神科領域に位置します。通常、患者さんの治療プログラムにはゴールが設定されますが、医師や理学療法士と一緒にその治療プログラムの中にファシリティドッグを介入させます。たとえば、リハビリを嫌がる子どもでも、ベイリーと一緒ならお散歩感覚で楽しんでリハビリをすることがあります。薬を飲まない子どもが、「ベイリーと一緒なら薬を飲むから、ベイリーを呼んで」と言うこともありますし、時には手術室まで一緒に同行することもあります。日本ではファシリティドッグを導入している病院は二つしかありませんし、まだまだ動物介在療法が確立されているとは言えない状況です。セラピードッグはたまに病院に来て患者さんに触ってもらうことで癒しを与える存在として知られていますが、ファシリティドッグは医療スタッフの一員として治療の中に組み込まれています。そのため、平日は毎日、病院で活動しています。

子どもたちがベイリーと触れ合う際の私の役割は、まずはベイリーのポジショニングです。触ってみたいけど少し怖いな、と感じている子には、ベイリーの背中を向けて座らせます。小さい子の前では伏せさせたり、点滴をしている子の場合は点滴をしていない手の側に座らせます。恥ずかしがって近寄って来ない子には声をかけて誘うことも私の仕事です。何よりも、ベイリーにとって病棟は「楽しいところ」でなくてはなりません。少しやんちゃな子どもが回りで騒いだりするとベイリーも落ち着きがなくなったりするので、ベイリーにとって嫌な環境になりそうなときは早めに切り上げることも必要です。

また、私が病院のスタッフというよりも第三者という立場であることが付き添いの親御さんには安心感があるようです。医師や看護師には言えない愚痴を聞くこともあります。

―森田さんはどのようなきっかけで動物介在療法に携わるようになったのでしょうか?

シャイン・オン・キッズがファシリティドッグの活動を開始することになったとき、こういった活動に詳しい先生に相談に行ったそうです。その先生は、私が大学時代に卒業論文を見ていただいた方だったのですが、私の卒業論文のテーマが「アニマルセラピー」についてだったこともあり、「看護師経験がありハンドラーに向いている人はいないか?」と相談された際に、私を推薦してくださったことがきっかけです。当時、こども病院に勤務していたのですが、これを機にシャイン・オン・キッズにハンドラーとして参加することになります。


最初は病棟内に入れてもらえなかった。

ー初期の導入時期には様々な苦労があったと思いますが、いかがですか?

最初は病棟内に入れてもらえませんでした。入院している子どもが、親と外に出てきて一緒に散歩したりするくらいです。活動も毎日ではなく週に3日でしたし、患者のカルテも見せてもらえませんでした。やはり、犬を病棟内に入れることに抵抗があったことは事実です。しかし、徐々にベイリーと触れ合う子どもや家族からの声に押されて、最初はプレイルーム、それから病室と段階を経て、今ではベッドで添い寝もしています。また、人間よりもベイリーの方がよほど清潔だという専門家もいるくらいですし、患者の情報にアクセスできるようになったり常勤したり、本来のファシリティドッグの活動ができるようになってきています。

―ハンドラーになるためにはどのような資質が必要なのでしょうか?

看護師としての経験が特に規定されているわけではありませんが、私個人としては、5年ほど臨床で経験を経ている方が良いと思います。また、臨床心理士や理学療法士でもハンドラーにはなれますが、何よりも人柄が重視されます。患者や家族とのコミュニケーション能力が必要ですし、パートナーとなるファシリティドッグは、トレーニングセンタ―がハンドラーと面接をした印象や導入病院の特徴を踏まえ決めます。ちなみに、犬の訓練は導入病院が決まってから開始されます。現役の看護師の中にはハンドラーに興味を持つ方が多く、よく問い合わせをいただくのですが、導入病院が決まらないことにはハンドラーが働く場所がありません。ファシリティドッグの導入には費用もかかりますので、導入する病院がなかなか増えないという現状があります。

 

「病気だから我慢」は当たり前じゃない。

ー現在のハンドラーとしての活動を通して、看護師として病院に勤務していた頃と比べて、森田さん自身、変わったと思うところはありますか?

子どもたちへの寄り添い方が変わりました。病院に勤務していた頃は本当に忙しかったこともあり、「医療者目線」で患者さんを見ていたように思います。たとえば、手術前に子どもが親と離れたくなくて泣くということに対して、何も感じなくなっていたと思います。家族が話しかけたそうな雰囲気を出していても、時間に追われて気づけなかったこともあります。でも、今は子どもが泣くことや、採血で痛い思いをすること、それを見ている親の辛さがよくわかります。静岡にある病院に勤務していた頃は、手術室で麻酔をかけるまでベイリーが付き添っていました。ベイリーが傍にいると泣く子はほとんどいませんし、親の表情も全く違います。病気だから嫌なことや我慢しなくちゃいけないことがあるのは当たり前じゃない。患者の立場から今はそう思えます。

―森田さんはずっと、ハンドラーとして活動を続けていきたいと考えていますか?

そうですね。やっていて楽しいですし、何より子どもたちや家族との関わりの中で嬉しいと感じる出来事も多いです。看護師が何時間、説得しても薬を飲まない子でも、ベイリーが行った途端、薬を飲んだり、入退院を繰り返している子が「ベイリーに会いたいからまた入院したいと言っている」と家族からメールをいただいたりすることもあります。今の自分の役割は非常に重要だと思いますし、存在意義も大きいと感じています。ファシリティドッグに期待されていることは、病気を治すことではなく患者さんのやる気を出すことです。人間にはできないことでも、そこに犬が介在することでできる可能性が出てくることもあります。色々な側面からのアプローチによって、動物介在療法の効果は実感されていくのではないかと考えていますし、今後こういった活動が広まっていくことで、入院している子どもや家族の笑顔が増えることを期待しています。

 

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森田優子/認定 特定非営利活動法人 シャイン・オン・キッズ ファシリティドッグ・ハンドラー

静岡県立大学看護学部看護学科卒業。東京・成育医療研究センターを経て、2009年にシャイン・オン・キッズにファシリティドッグ・ハンドラーとして就職。ファシリティドッグのベイリーと共に静岡県立こども病院を経て、2012年より神奈川県立こども医療センターで活動中。

認定 特定非営利活動法人 シャイン・オン・キッズ

http://sokids.org/ja/
Facebook:https://www.facebook.com/sokids.org

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●記事の内容は取材当時の内容であり、現状は異なる可能性がございますので予めご了承ください。

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 3 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. おはようございます。同感です。協力したいです。

  2. By ひろとみ

    ベイリーさんには大変お世話になっています。入院中に出会い、嫌な治療、嫌な検査、嫌な注射、どんな時も一緒に来てくれる、強い味方。一緒にベッドで横になってる時はとても嬉しそうなんです。今は1日入院で通っていて、行くときは必ず会いたいって感じで微笑んでいます。
    森田さんとベイリーさんを待っている子供たちのために頑張って頂きたいです。

  3. By 五十嵐龍之助

    私は将来的に小児科医を目指しておりますので素晴らしい活動だと思います。

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