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サイト閉鎖のお知らせ

諸般の事情により、2021年5月末日をもちまして「チャンスクリエーター」を閉鎖させていただきます。
これまでのご愛顧に対しまして、スタッフ一同、深く感謝するとともに心より御礼申しあげます。

長らくのご愛顧誠にありがとうございました。

医療と社会の二重の壁を壊したい。―M-Labo

医療と社会の二重の壁を壊したい。―M-Labo
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医療系学生・若手医療者を中心に、メディア運営を軸に積極的な情報発信を続ける団体、M-Labo(えむ-らぼ)。運営の核となるのは、医学生の内原正樹さん、看護学生の松井晴菜さんと濱田紗佑里さん、薬学生の藤巻慎さんの4人のメンバー。医療を学び、またこれからの医療を担っていく立場から、医療と社会の壁をなくすべく、主にメディアを通じての活動を行っている。

新しい風を起こすことに、時には批判的な意見も受けながらも、「やってみて初めてわかることもある」とさらなるエネルギーを生み出すメンバーたち。そんなM-Laboには医療界以外からも注目が集まっている。

医療系学生が運営するメディアとはどのようなものか?横のつながりが新たに生み出す価値とは?

M-Labo運営メンバー/(左から)藤巻さん、内原さん、松井さん、濱田さん

M-Labo運営メンバー/(左から)藤巻さん、内原さん、松井さん、濱田さん

医療と社会の架け橋になるメディアをつくる。

―M-Laboを立ち上げた経緯について教えて下さい。

内原さん(以下、敬称略):メンバーが各々で感じていた課題はバラバラだったと思います。ただ、共通意識として根底にあったのは「医療って、何だか閉鎖的だよね」ということ。医療者は高い専門性を習得する為に勉強がハードなので、どうしても社会との接点や横のつながりが弱くなりがち。学生にしても、他の大学の学生と何か具体的にアクションを起こそうという人は稀です。でも、「医療は閉鎖的」という所から少しずつ行動し、何かしら問題を感じていたからこそ、そういう人たちが集まるイベントで出会ったりして今のメンバーが集まり、2013年の11月にWEBマガジンを軸にした共同ブログを立ち上げました。藤巻を編集長に1日1記事を目標に運営しています。記事をベースとした情報発信がメインですが、最近は松井を中心にインタビューコンテンツ、濱田を企画部長としたイベントなど、活動の幅を徐々に広げています。僕はこれらの各プロジェクトの統括や、新規企画の立案などを行っています。

僕らは大学に入学したときから、医療界というとても閉塞的な世界にいます。医療者として一人前となるためには、身に付けなければならない知識が膨大で、日々の学業や実習に追われがちになり、卒業してからも社会との接点が多くはありません。一方、年々膨らみ続ける社会保障費についてや、医療者の労働環境の問題、戦後から続く医療制度の疲弊など、解決すべき医療の社会的な課題は多く、そのアクションとして異分野のキープレーヤーから学ぶという方法を考えました。インタビュー企画はまさにその一環で、医師でありながら政治の世界に身を置く人、デザインの仕事をする人など、多岐に渡ります。

松井さん(以下、敬称略):インタビューを通して、外の世界にいる人を医療に巻き込めることが大きなメリットだと思っています。インタビューして終わりではなく、医療者がつながっていけるような良いきっかけを生み出していますし、医療学生自身が違う視点から医療を考えてみることで、新しい発見をしたり、何か意見を持てるようになればいいと思っています。

濱田さん(以下、敬称略):M-Laboのインタビュー企画はインタビュアーが強い発信力を持っていることが特徴です。インタビューさせていただいた方の記事を掲載するだけでなく、話を聞いてインタビュアー自身がどう考えたのか、どう感じて自分のアクションに繋げていきたいのかその点も強く発信することは他のメディアとは異なる点だと思っています。

 

M-Labo代表 内原正樹さん

M-Labo代表 内原正樹さん

 

発信することのリスクと面白さ。

実際にメディアを立ち上げて情報発信することで、どんな影響がありましたか?

藤巻さん(以下、敬称略):通常、人は相手が何を考えているのかなかなか分からないものですが、発信することで「この人はこういうことを考えていたんだ!」ということを分かってもらうキッカケになるということに気づきました。記事の内容についての感想や、紹介したサービスについて「実際に使ってみたよ」など、フィードバックを受けることもとても嬉しいです。僕は以前から個人ブログを書いていたので、アウトプットの重要性を感じていましたが、より影響力のある場で発信することでその必要性を改めて感じています。

勉強会やワークショップを開催している学生団体は他にもあるのですが、自らメディアを持ち情報発信している団体はあまりありません。意見を外部に発信することで、医療関係者以外の方が見てイノベーションの可能性が生まれることに面白みがあります。

一方で、実際にやってみて気づくリスクもあります。通常の医療系情報メディアの多くは会員制でクローズドな環境で運営されていますが、M−Laboは完全フリーアクセス、さらに医療学生や医療者が実名で書いています。将来、学会発表での影響や患者さんが医療者の個人名を検索し、何らかの悪影響を及ぼす可能性があること。医療者の発信には、こういう側面もあるのだということを発信していくなかで理解し、学んできました。しかし、世間的には悪い影響に見えることも、僕はセルフブランディングによるメリットがより良い影響を生むと考えています。医療の世界は「個」を立たせない文化がありますが、上手く使っていこうとポジティブに捉えることはできます。

濱田:私も実名だから良い部分はあるということは実感しています。記事を書くことで自分に色が付きますから、自分の興味の方向にマッチした興味深いお話をいただくこともあります。私は看護学生ですがビジネスにも興味があります。以前「日本人女性が自立出来ない理由〜ビジネスマインド編〜」という記事を書いたのですが、その記事を読んだ看護師の方から「看護学生でこんな人がいるのか」と、ナースウェアのファッションショーの運営をやらないかと声を掛けていただきました。学校にいるだけではこんなチャンスは巡ってきません。

松井:私は正直なところ、最初は自分の意見を発信することにためらいがありました。しかし、今は「インタビュー」という手法を通じて、相手の意見の中に自分が共感できるポイントを見つけ、自らの意見を発信することに醍醐味を感じています。私は母も祖母も看護師という環境で育ち、看護師の仕事にとても魅力を感じて尊敬していた一方で、医療現場のシビアな状況も聞いていました。課題を解決するには政治の影響も大きいと考え、医療と政治の関わりについてインタビュー企画を通じてより具体的なものとして見えてきました。どんな手法を用いて看護の問題を解決するのが自分に合っているのかは、まだ試行錯誤ですが、M-Laboでのメディア運営を通じて初心を具体的なアクションへと落とし込めているような気がします。今となっては前ほど発信することへのためらいはありません。

 

M-Labo 編集長/藤巻慎さん

M-Labo 編集長/藤巻慎さん

医療者の役割が変わる。

「医療は閉鎖的だ」という共通認識があったということですが、具体的にどのようなことを感じていますか?

内原:僕達は、医療と社会の間には二重の壁があると思っています。一つは、医療者があまり社会との接点を持つ機会が少なく、勝手に自分達で作ってしまっているという内側の壁。もう一つは、社会から医療へのレッテル・一方的なイメージという壁です。そういう意味で、今M-Laboで行っているインタビュー企画は医療とそれ以外の人が直接つながるチャネルの一つとしての機能が期待できます。

濱田:医療へのイメージという点で、健康は医療者に守ってもらうものではなく、「自分の健康は自分で守る」という意識は患者さんにとって一番必要になるのではないかと思います。医療が何でもしてくれる、「これして、あれして」と医者が指示を出してくれるのではなく、わからないところだけ医者に聞く。あくまでも手助け・援助に徹するのが医療という意識です。

松井:医療=医者というイメージが一般の人には浸透していますが、そのことも、自分の健康を医療に守ってもらうという人任せの発想を生み出していると思います。医者以外のコメディカルも患者さんの生活を支える専門性を持っていることは知ってもらいたいですし、私たちからも発信していかなければなりません。

藤巻:今、一般の人もヘルスケアに関する情報を入手しやすくなってきています。Googleで検索すれば大体のことはわかる。それでもわからないことやより専門的なことに関して医療者がいるという構図になると思います。一般の人にも医療や健康について知りたいという欲求を持ってほしいですし、僕たちも発信していきます。しかし、どこにいる誰に聞けば良いのかは、情報として少ないのではないかと思います。「医療者が、自分たちはこういうことができます」という情報を発信し、一般の方に届くようになれば、何でも医者じゃなくて目の前にいる看護師に聞けば、街に沢山ある薬局で薬剤師に聞けば解決することも増えるはずです。僕たちは、医療者は単純に医療施設にいる人、ではなくそこに患者さんが入って来られるようにオープンな発信の方法を覚えなくてはならない世代だと考えています。だからこそ、今試行錯誤しながらも発信していることに醍醐味があると思っています。

濱田:医師がトップに位置するピラミッド型の組織や考え方はもう古いと思います。事実、da Vinch手術という手術支援ロボットが行う手術は既に250件を越えています。つまり、技術さえ高度に発展すれば医師の仕事がロボットに代わられる日はそう遠くないということです。そして、テクノロジーにはできなくて人間にしかできないことは何か?を考えると「cure」ではなく「care」、つまり看護の領域に集約されるのではないかと思います。だからこそ、看護師がもっと自立意識を持つことは推進したいと思っています。けれど、そのときでも看護師がトップにという意味ではなく、理想は誰しもがリーダーに成り、フォロワーにも成り得るアメーバーのような組織が理想だと思います。

医学生、薬学生、看護学生それぞれ立場や視点が違いますから、複数の医療学生が集まることで、M-Laboは新しい渦を作りだしていけるのではないかと思っています。また、患者さんを始めとして一般の人も、医療者との接点は主に病院に限られていると感じる部分は大きいと思いますが、そのイメージも少しずつ変えていけるような役割をM-Laboが担えればと考えています。

松井:医師が看護師をお手伝いに使うような現象が看護師と介護職の間にも生じていたと聞きます。大事なことはどちらが上か下か、ではなくお互いの専門性を知って連携すること。どの医療者の目標も「患者さんの目標」と一致させることで、病院でも施設でも本当の意味で患者さん中心の医療が実現されるのではないでしょうか。

 

M-Labo Social企画長/濱田紗佑里さん

M-Labo イベント企画長/濱田紗佑里さん

異分野とのコラボレーションが医療の課題を解決する。

今後、M-Laboとしてどのような活動に力を入れていくのでしょうか?

松井:そもそも医療の道を志す理由は家族がその職に就いていたとか、偏差値が高いから医学部、とか自分を起点にした理由が多いです。それ自体は良いきっかけだと思いますが、患者さんの生活を含め一人の人間として診るということを知ってから医学部に入学する人がどれだけいるか、というとかなり少ないと思います。また、看護学部に夢を抱いて入学して、実際現場を見て「こんなに大変だったのか」「想像していたことと違う」と思うことは多いです。入ってみないと分からないこともありますが、医療の世界で働くということはどういうことかを私はもっとリアルな声として受け取りたかったですし、医療の道に進む前段階の高校生に伝える機会は重要になると思います。

内原:これまでM-Laboは情報発信のプラットフォームとして「場」の意味合いが強かったのですが、今後はよりメディアとしての価値を高めていきたいと思っています。今の医療全体の課題は本質が見えづらい状況です。僕らもまだ現場に出ていないので、色々な方からお話を伺う中で学ぶことも多いですが、だからこそ、5分で概要がわかるコンテンツなどを提供することも考えています。記事でのコンテンツ提供がこれまではメインでしたが、よりカジュアルな動画や漫画といったコンテンツを取り入れたり、現場の問題意識を投稿できる参加型コンテンツの企画も検討しています。また、医療以外の分野の人を巻き込んで医療の課題を解決していくプロジェクトも準備中です。医療と社会の橋渡しとしての役割を担うことは、これからも変わらず追求していきたいと思います。

 

M-Labo Social企画長/松井晴菜さん

M-Labo Social企画長/松井晴菜さん

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M-Labo

http://mlabo.net/
https://www.facebook.com/mlabo2020

私達が求める「より良い医療・社会」とは何か、アクションを続けながら考えるラボ(研究所)。これからの医療を担う若者世代の問題意識・想い・エピソードを引き出したり、リアルなアクションを起こす為の仕掛け・繋がりをデザインします。

 

M-Labo メンバー

内原正樹(うちはら・まさき)
M-Labo 代表
東京都出身。筑波大学附属駒場高等学校卒業。昭和大学医学部4年在学中。

松井晴菜(まつい・はるな)
M-Labo  Social企画長
北海道生まれ、東京都出身。錦城高等学校出身。聖路加国際大学看護学部4年在学中。

濱田紗佑里(はまだ・さゆり)
M-Labo イベント企画長
埼玉県出身。東京女子医科大学看護学部4年在学中。

藤巻慎(ふじまき・しん)
M-Labo 編集長
神奈川県出身。サレジオ学院高等学校卒業。東京薬科大学薬学部6年休学中。

 

M-Labo主催のイベントはこちら。↓

Vol.2『M-Labo FB2000いいね!突破記念交流会』
6/24 18:30~@渋谷
https://www.facebook.com/events/1427512157511422/

 

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●記事の内容は取材当時の内容であり、現状は異なる可能性がございますので予めご了承ください。

COMMENTS & TRACKBACKS

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  1. By Baba Yoshiko

    患者さんの高齢化、メディアによる中途半端な情報、病院内での派閥。
    薬に対する知識の無さと、大量の情報。
    医師もお金儲けが必須になり、薬を大量に出す。なのに薬情を伝えない。言っても聞いてないが。。。患者さんも多数の病院を掛け持ち。これが私の見てきた状況です。

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