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保健師

サイト閉鎖のお知らせ

諸般の事情により、2021年5月末日をもちまして「チャンスクリエーター」を閉鎖させていただきます。
これまでのご愛顧に対しまして、スタッフ一同、深く感謝するとともに心より御礼申しあげます。

長らくのご愛顧誠にありがとうございました。

無駄なことは何一つない。-株式会社ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役 加倉井 さおりさん

無駄なことは何一つない。-株式会社ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役 加倉井 さおりさん
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「愛して、学んで、仕事をする」――。そんなテーマを掲げ、女性が自分らしく健康に生きることを推進する女性がいる。株式会社ウェルネスライフサポート研究所の代表、加倉井さおりさんだ。看護師・保健師の資格を持ちながらも「病気になる前のサポートをしたい」と臨床から離れた場で健康をサポートする活動を続けてきた。「まず自分を愛することから人のケアは始まる」という言葉の裏には、仕事や家庭との両立で悩み続けた経験があった。

【糖尿病という病気を知らない人もいる。病気になる前のサポートをする仕事に就きたい。】

―加倉井さんは最初から、看護師として臨床経験を積むという選択肢はなかったのでしょうか?

学生時代から自分が看護師として病院で働くイメージはありませんでした。看護の道に入ったのも、結婚しても出産しても働き続けられると考えていたことと、病気になる前に予防するという活動をしたかったから。調べてみると、それは「保健師」という仕事だということがわかりました。保健師になるには看護の勉強が必要です。それで、まず看護の勉強に取組みました。

実は病棟実習の際に、卒業後の進路として保健師の道を選ぶことを確実にした出来事がありました。糖尿病で入院していた患者さんから「将来は何になりたいんだ?」と聞かれて、「保健師という職業に就きたいです。病気になる前の予防の活動をする職業です。」と答えたら、「絶対になった方がいい。自分は病気になるまで糖尿病という病気があることすら知らなかった。」と言われたことがあります。この一言に、さらに背中を押された気がします。

株式会社ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役 加倉井 さおりさん

株式会社ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役 加倉井 さおりさん

【何度も辞めようと思った18年間。】

―その後、かながわ健康財団に就職されたのですね。保健師の就職先として「財団」というのはよくあるのでしょうか?

通常の保健師の就職先は市区町村などの自治体がほとんどです。当時、神奈川県は先駆的な保健師活動がされていました。ちょうど保健師学生の時「かながわ健康財団」が新しく設立されるということで、新卒の保健師を2名募集していたのです。「運動が好きな人、人前で話すことが好きな人、元気な人」という募集条件は私にぴったりでした。地域・産業・学校に出向いて健康教育の企画や講師をする。まさに私が求めていた仕事でした。

しかし、実際に入ってみてからは辞めたいと思うことが何度もありました。現在の仕事をしていると順風満帆に仕事をしてきたように思われるのですが、財団に勤務していた18年間は辛い思い、悔しい思いもたくさん経験しました。臨床経験がないことをコンプレックスに感じることもありましたし、保健師の仕事とは思えないような仕事に追われることを不満に思うこともありました。財団の仕事は県民への普及啓発活動でもあるので、新聞を通じての情報発信や、健康情報誌の企画編集、スポンサーになっているラジオ番組の収録立会いなどの仕事も多く、「私がやりたかった本来の保健師業務とは違う。もう辞めたい!」と先輩に話したこともあります。その時に、「辞めてもいいよ。ただし、財団の看板が外れても、加倉井さんにお願いしたいと思われるようになりなさい。」と言われたことが今でも強く印象に残っています。財団の保健師という働き方は珍しかったので、「内部に保健師がいるのに、わざわざ講師料を払って外部の保健師に講師を頼むこと」に対する批判の声があったという話を耳にしたこともあります。それでも18年間続けられたのは、この時の先輩の言葉があったからだと思っています。専門職を対象にした研修で講師として呼ばれるような私になること、これから保健師を目指す若い学生に保健師の可能性を伝える私になることも、保健師研修の講師や大学の非常勤講師という形で実現し、徐々に理解者も増えてきたことで最後は年間60件程の研修を「加倉井さおり」指名でいただくことができました。

設立と共に入社し、ゼロから作り上げていく経験を積ませてもらえたことが、今振り返ってみると、後に起業する基礎を作ることができたと思っています。財団での仕事はとてもやりがいがありました。

【多くを失い、再スタート。】

―18年間勤務した財団を辞められたきっかけは何だったのでしょうか?

3人目の子供の入院と同時期に、母が病気になりました。それまでも上の子供の入院など「もう続けられない」と思うことがあっても周囲のサポートのおかげでなんとか乗り越えてきたのですが、その時ばかりはお腹の底から「自分にとって働くということはどんな意味を持つのか」ということを問いただすような思いに駆られました。「自分はどうしたらこの先の人生を後悔しないのか」を考えたら、「母と過ごしたい、子供の傍にいたい、仕事はもういい」と思えたのです。それで、専業主婦になると決め、18年間勤務した財団を辞めました。

ところが、両親を自宅に呼び同居を始めてしばらくすると母が「自宅に帰りたい」と言い始め、実家に戻ってしまったのです。結局、私が仕事を辞めてから母と一緒に暮らしたのはたったの3ヶ月。母は帰ってしまった、仕事は辞めてしまった。夫の「仕事を辞めることなかったのに」という言葉もショックでした。

ただ、前職で18年間勤務し、指名で講演依頼をいただいていたとは大きく、私が辞めたことを聞いて前職のつながりのある方や保健師学校の同級生たちが講師依頼をしてくれるようになりました。財団にも話をし、私に依頼のあった仕事は直接受けることを認めていただけました。母も帰ってしまったので仕事を受けられるし、来る仕事を有り難く受けていたら、気づけば年間で120件も講師をしていました。当時はホームページもなく看板も掲げずにフリーでしたので、口コミとリピートだけでこの数の依頼を受けていたことになります。

―その後、現在の株式会社にされたのでしょうか?

フリーから始め個人事業主を経て、後に株式会社にしました。株式会社にしてからは自分の心構えが変わりました。組織として社会にどのように貢献していくかという視点が加わったような気がします。この会社に関わることで、生き生きとした看護職や女性が増えること、それを学べる場やつながりを持てる場を作ることがこの会社の役割だと思っています。

【失敗のない世界を生きる。】

―ご自身の経験が、研修にそのまま活かされていることもあるのではないでしょうか。

そうですね。私自身、上手くいかなくなること、それを経て段々上手くいくようになる、修復していくということを体験しているので、今上手くいかなくても諦めないということや、上手くいかないときにどんなマインドで接していけば良いのかということを話せる機会は多いです。母の介護を経験したからこそ、どれだけ介護予防が重要か心から話せます。当事者になったら全てマニュアル通りに実践することは本当に難しいのです。どんな経験も無駄になることは一つもないですし、後から考えると、必要な時に絶妙なタイミングで1分1秒狂わずに起きていると思えることがたくさんあります。どんなことも失敗ではなく必要なこと。私は、失敗というものは無いと考える世界を生きています。

【愛して、学んで、仕事をする。】

―最後に、同じように医療に携わる方へのメッセージをお願いします。

私は、研修で「愛して、学んで、仕事をする」という在り方についてお話をすることがあります。まずは自分を愛し大切にする。自分の本当の想いや大切にしたいことに真っ直ぐ向き合ってほしいと思っています。自分のことを大切にできない人が人のケアなどできません。「やってあげている」という気持ちが勝ってしまうのです。家族に対しても同じで、特に育児との両立に迷った時、「子供のために」と思っても自分が仕事を続けたいと心底思うのであれば続けたほうがいいと私は思います。一緒にいる時間は少なくても、その想いは子供に愛情を注ぐことにつながります。

そして、学び続けるということ。仮に仕事を辞めると決断しても、いつか復帰したいのであればスキルを磨いたり新たな学びを始めてもいいのです。学ぶということは何も資格を取得したり研修を受けることだけではありません。たとえば、子育てをしながら学べることもたくさんあります。それは忍耐力かもしれないし、「もっとこういうサービスがあればいいのに」という母親の視点かもしれません。日常のどんなことからも学ぶことはできます。そして、その上で仕事をする。仕事をするというのは収入を得ることとイコールではありません。やりたいことで能力を発揮するということです。

どんなに小さくても歩みを止めなければ無駄になることは何もありません。悩むことは悩まないことよりも断然素晴らしいことで、人の心に寄り添えるのは悩む経験を重ねた人です。だから、特に看護職の方にはこれからもスキルだけではなく、マインドを磨いてほしいと思います。そして、そのマインドを磨く場は日常の中にあふれているということを忘れないでほしいと思っています。

 

 

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加倉井さおり/株式会社ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役

株式会社ウェルネスライフサポート研究所 代表。筑波大学 医療技術短期大学部 看護学科卒業。神奈川県立看護教育大学校 保健学科卒業。財団法人かながわ健康財団にて、保健師・心理相談員として県内各地で健康教育を中心に18年間活動した後、2009年に独立。2010年4月にウェルネスライフサポート研究所を開設。「健康教育スキルアップ研究会」や「ウェルネス・ファシリテーター養成講座(R)」も開催。女性のウェルネスライフ実現をサポートしたいと【WOMANウェルネスプロジェクト】を立ち上げる。「愛して、学んで、仕事をする塾(R)」も開講。「笑顔になる、元気になる、幸せになる講演・研修」をモットーに全国で活動している。著書に「小さなことにクヨクヨしなくなる本」(かんき出版)がある。

●株式会社ウェルネスライフサポート研究所
http://wellness-happydream.com/

●女性の「健やかに、自分らしく、幸せに生きる」を応援。 WOMANウェルネスプロジェクト
http://woman-wellness-project.com/

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●記事の内容は取材当時の内容であり、現状は異なる可能性がございますので予めご了承ください。

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 2 )
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  1. By 秋山雅美

    加倉井さんの働きかた、素敵だと思いました。
    私はシングルで今年小学校に入学するこどもがいます。保育園と違い仕事が終わるまで預かってくれるところは学童しかありません。しかし、小学生入学なれば習い事などもさせてあげたいという気持ちもあり、リンパドレナージセラピストの資格をとり、昨年リンパ浮腫専門の訪問看護を立ち上げました。まだまだ患者さんは数えるほどしかおりませんが、こどもの為にも自分の為にもこの仕事がうまく行くように頑張ろうと思ってます。
    現在は、事業だけではたべていけないので、他の訪問看護ステーション掛け持ちしています。そこの所長は男性なのでなかなか1人で働きながら子育てをしていく、大変さを理解してもらえません。そのことで、ちょっとくじけそうでしたが、この記事を読んで、また頑張ろうという気持ちになれました。
    ありがとうございます。
    私も高齢者の訪問を通して、介護予防の大切さは実感しております。私は茅ヶ崎市に住んでおりますので、そういったことで何かお手伝い出来る事があれば、お声かけていただけると幸いです。

  2. By 加倉井さおり

    秋山さま、コメントいただき、ありがとうございます。ご自分の人生に、真摯に向き合い、選択し、前を向いて歩いていかれている姿、本当に素敵だと思います。「愛して、学んで、仕事をする」という在り方が、女性の幸せなウェルネスライフに繋がると信じて、発信しています。いつの日かお会いできますことを楽しみにする共に、秋山様の活動も応援しております。

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